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色管理

05_濃度を測定すると何が分かるの?

さて、色の管理カラーマネージメントとしては色彩値であるL*a*b*測定が中心となっている昨今、どうして依然として濃度値を使用するのでしょうか?
印刷における濃度測定値から派生する指標としてはドットゲイン、2次色トラッピング、コントラスト、グレーバランス、ヒューエラー、グレーネスなどさまざまなものがありますが、なんといってもベタ濃度の管理が最も重要な役割となります。
 
印刷の場合、濃度の変化は色材料の変化に直結します。
たとえばオフセット印刷の場合,図―7のように濃度とインキ膜厚との間に比較的線形な関係(比例の関係)があります。つまり濃度が高くなれば比例して膜厚が厚くなり顔料の混入量(色材濃度)が多くなるということに繋がります。
つまり、濃度∝インク膜厚∝色材量という関係が成立するわけです。
(ただし、グラフからも分かるように一定の濃度(膜厚)以上になると、その線形(直線)性が失われてきます。そのため、あまり高濃度になってくると濃度測定は意味を失ってくることになります。)
 
 
ベタインキのインキ膜厚と濃度の関係
図-7 ベタインキのインキ膜厚と濃度の関係
 
濃度が決まればその線形性から色材量が決まります。いつも同じインキを使用する場合、色材量が決まれば図-8のようにその分光反射率の形が決まってしまいます。つまり、色そのもの(色彩値)が一意に決定されることになります。
 
 
インキ色材量(膜厚)変化による分光反射率の変化
図-8インキ色材量(膜厚)変化による分光反射率の変化
 
印刷の現場では、いつも同じプロセスインキを使用することで、濃度を決めればその色彩値、さらに分光特性さえも決めることができるのです。濃度値は簡単な1つの指標で表わすことができますし、何よりコントロールが可能な色材量(オフセットの場合はインキ膜厚)とリンクしているため、現在でも印刷の現場では最も重要な指標として使用されているのです。
だって、L*a*b*やΔEで言われたって、印刷機をどうコントロールすれば良いか分からないでしょう!
 
ただし、ここでの条件は「同じインキを使用する場合は...」ということです。

同じインキでない場合、濃度を合わせても色はマッチしないのです。ですから、たとえばプルーフのベタ濃度を測定して本紙のベタ濃度をこれに合わせても、一般的に色は合いません。(プルーフと本紙では通常インクが異なるからです。)

この場合は,色彩値をあわせる必要があるのです。
 
下の2つのカラーパッチは濃度が両方とも1.05でも使用するインクが異なるため色がマッチしません。
 
 
両方とも1.05でも使用するインクが異なるため色がマッチしません
Y濃度=1.05    Y濃度=1.05
 
インクが異なるような場合、たとえばプルーフの特色に本紙で色をマッチさせるには濃度ではなく、色彩値を合わせて印刷する必要があるのです。
この場合は,ベストマッチという便利な機能を利用する方法があります。
ベストマッチは色彩値のマッチイングを濃度でガイドする機能です。このベストマッチについてはいつか詳しく説明します。
 
 

トリックなし、トリート(ごほうび)だけ!

前回、ステータスTとEを説明しましたが、それでは、ステータスTとEの どちらを使用すればいいのでしょうか?
 
印刷のプロセス印刷では、基本的にはどちらを使用しても良いと思います。
問題は常に同じステータスを使用することです。
あるときはステータスTを使用して、あるときはEを使用するといったことをしてはいけません。
ですから、自分の会社がどちらのステータスを使用しているかをキチンと認識していなくてはいけません。
どちらか判からない場合は、コート紙のイエローのベタ濃度をどの程度の濃度で印刷しているかを確認してください。
 
イエローのベタ濃度が0.95~1.05程度だとおそらくステータスTだと思われます。
これが1.25~1.35程度だと使用しているステータスはおそらくEでしょう。
図-5にステータスの典型的な値の例を示します。シアン、マゼンタ、ブラックではステータスTとEで
同じ値を示しています。
 
 
典型的なステータス濃度
図-5 典型的なステータス濃度
 
よく「ANSI TとかANSI EなどとISO T,ISO Eはどのように違うのか?」という質問を受けます。
ANSI TとISO Tは全く同じ濃度を指します。同様にANSI EとISO Eも全く同じものを指します。
測定器の販売された時期によって記載の仕方が異なっているだけです。
 
ステータスIはどのような濃度ステータスでしょうか?
 
ステータスIは狭帯域濃度のステータスで、典型的なプロセスインキのピーク吸収波長に応答のピークを合わせた重み付けをしています。ピーク波長がインキの特性とマッチしている場合、最大限の感度が得られ、 小さな膜厚変動で大きな濃度変化が得られます。しかし、その有効性はインキの特性に依存するため、ピーク波長が使用するインキとずれた場合、思わぬ波長的なデッドゾーンが発生する場合があります。
また、プロセスインキ以外では使用が難しいなどの問題もあるため一般的には使用されていません。
 
 
典型的なステータス濃度
図-6ステータスIのY,M,Cの重み付け
 
濃度計(測定器)によってステータスIがSPIと表記されている場合もありますが、これもISO Iと全く同じ意味になります。
 
その他の印刷用のステータスとしてはDINというものがあります。
DINはドイツの国家規格によるステータスでやはり広帯域の特性を持ちます。
DINにはDIN16536 (1995)、DIN16536 (1984)などがあります。また、古い濃度計測色計)ではDIN SPMと記載されたものもあります。
これらのステータスは全く同じものではなく、それぞれ微妙に異なった濃度を示します。
DINは古い規格でDIN16536 (1995)をベースとしてISO Eが国際規格として制定されています。このためFOGRAなどでもDINを使用しているユーザーにはISO Eへ移行するように推奨しています。ちなみにそれぞれのDINが少しずつ異なるように、ステータスEもDIN16536 (1995)と同じ濃度を示すわけではありません。
正確を期すならば自社の基準をステータスEで取り直すことをお勧めします。

 Xrite 印刷     光学濃度計

 

色の管理 #カラーマネジメント #カラーキャリブレーションソフトウェア #カラー測定 #カラー評価

04_濃度ステータスTとE、あなたはどっちを使ってる?

前回、ステータスTとEを説明しましたが、それでは、ステータスTとEの どちらを使用すればいいのでしょうか?
 
印刷のプロセス印刷では、基本的にはどちらを使用しても良いと思います。
問題は常に同じステータスを使用することです。
あるときはステータスTを使用して、あるときはEを使用するといったことをしてはいけません。
ですから、自分の会社がどちらのステータスを使用しているかをキチンと認識していなくてはいけません。
どちらか判からない場合は、コート紙のイエローのベタ濃度をどの程度の濃度で印刷しているかを確認してください。
 
イエローのベタ濃度が0.95~1.05程度だとおそらくステータスTだと思われます。
これが1.25~1.35程度だと使用しているステータスはおそらくEでしょう。
図-5にステータスの典型的な値の例を示します。シアン、マゼンタ、ブラックではステータスTとEで
同じ値を示しています。
 
 
典型的なステータス濃度
図-5 典型的なステータス濃度
 
よく「ANSI TとかANSI EなどとISO T,ISO Eはどのように違うのか?」という質問を受けます。
ANSI TとISO Tは全く同じ濃度を指します。同様にANSI EとISO Eも全く同じものを指します。
測定器の販売された時期によって記載の仕方が異なっているだけです。
 
ステータスIはどのような濃度ステータスでしょうか?
 
ステータスIは狭帯域濃度のステータスで、典型的なプロセスインキのピーク吸収波長に応答のピークを合わせた重み付けをしています。ピーク波長がインキの特性とマッチしている場合、最大限の感度が得られ、 小さな膜厚変動で大きな濃度変化が得られます。しかし、その有効性はインキの特性に依存するため、ピーク波長が使用するインキとずれた場合、思わぬ波長的なデッドゾーンが発生する場合があります。
また、プロセスインキ以外では使用が難しいなどの問題もあるため一般的には使用されていません。
 
 
典型的なステータス濃度
図-6ステータスIのY,M,Cの重み付け
 
濃度計(測定器)によってステータスIがSPIと表記されている場合もありますが、これもISO Iと全く同じ意味になります。
 
その他の印刷用のステータスとしてはDINというものがあります。
DINはドイツの国家規格によるステータスでやはり広帯域の特性を持ちます。
DINにはDIN16536 (1995)、DIN16536 (1984)などがあります。また、古い濃度計測色計)ではDIN SPMと記載されたものもあります。
これらのステータスは全く同じものではなく、それぞれ微妙に異なった濃度を示します。
DINは古い規格でDIN16536 (1995)をベースとしてISO Eが国際規格として制定されています。このためFOGRAなどでもDINを使用しているユーザーにはISO Eへ移行するように推奨しています。ちなみにそれぞれのDINが少しずつ異なるように、ステータスEもDIN16536 (1995)と同じ濃度を示すわけではありません。
正確を期すならば自社の基準をステータスEで取り直すことをお勧めします。

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色の管理 #カラーマネジメント #濃度 #濃度計 #カラーマネジメント印刷 #インクの色 #CMYK濃度 #測色計 #プリンタカラー補正

測色計ってどう使うの? ―アイスクリームの色管理―

 

 

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スーパーやコンビニでアイスクリームを買う時、あなたは何を基準に選びますか?

 

無意識に、商品の色と外観で一番美味しそうに見える商品を選んでいるのではないでしょうか。

 

トルコ北部のチョルルに位置するAlgidaアイスクリーム(世界第6位のアイスクリームメーカー)では年間10億個単位のアイスクリームを生産しています。この工場でとある問題が発生しました。店頭に出荷するアイスの色に、生産ロットによって微妙に差が出てしまうのです。

もし買うたびに、ストロベリーアイスクリームが真っ赤だったり、真っ白だったりしたら、そのメーカーの商品を好んで選ぶでしょうか?その答えはAlgida社が一番よく知っていました。アイスクリームメーカーにとってカラーマネジメント(色の管理)は最も重要な要素です。Algida社は製品の色を統一させるために生産管理のプロセスの改善を検討します。

 

しかし、アイスクリームは使用成分や生産プロセスにより、正確な色を確保するのが非常に難しい食品です。アイスクリームの成分は照明を反射しますが、成分によって強度が異なります。例えば、粒子や気泡は、アイスクリームを薄い色にします。チョコレート味を作るココアのタイプによっても、茶色や赤など色合いが異なります。色の管理は一筋縄ではいきません。

 

そこで、カラーマネージメントのパートナー企業にエックスライト社を選びました。

 

エックスライト社は、チョルル工場に適した測色計とソフトウェアを組み合わせたパッケージ「VS450」を用意しました。VS450は測定物の表面に接触せずに正確に測色を行うことができる製品で、食品物を取り扱う際に非常に有用です。

 

チョルル工場では驚くべきスピードでアイスクリームが生産されています。生産ラインで飛び交うコンテナーに対応するためには色測定は正確かつ瞬時でなければいけません(当然非接触で!)。また、堅牢性も必要です。

 

VS450はアイスクリーム、チョコレート、着色料、ジャムなど、継続的に生産される加工食品のわずかなカラー変動を監視しつづけました。データはリアルタイムで統計処理およびプロセス監視に回されるため、品質管理と同時にコストを削減も図ることができました。

 

ヨーロッパ諸国で長年人気のあるAlgidaアイスクリームは、トルコでエックスライト社のテクノロジーを用いて色品質に対する評価を高め、東ヨーロッパ、中近東、アフリカにおいても高品質なアイスクリームの生産を展開することになりました。

 

エックスライト社の小型非接触式装置VS450はアイスクリームに限らず、あらゆる食品生産ラインに取り付けが可能で、高速に生産される製品の色を精密に測定します。温度、湿度、照明、振動等の変化に対する耐久性を備えており、あらゆるサンプルの色測定を素早くかつ価格を抑えて行うことが可能です。

 

エックスライト社製品のご紹介→http://www.xrite.co.jp/products/non-contact.html

 

色の管理 #測色計 #食品の色 #エックスライト #低価格測色計

03_濃度ステータス EとTはどうちがう?

前回、ISOのプロセス印刷用の濃度ステータスとして、ステータスT,E,Iがあることを紹介しましたが、今回はその内容をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

前回、ISOはこれらの波長領域の重み付けを数値として規定してることをご説明いたしました。(元々は色分解用フィルターの特性をベースにしたものです)
図-3に重み付けの波長グラフを示します。横軸が波長で、縦軸が重み付けの係数になります。

 
ステータスTとEの重み付けファクター
図-3 ステータスTとEの重み付けファクター
 

このようにマゼンタ用やシアン用の重み付けは、ステータスTとステータスEとで同じものが使用されています。

つまり、M濃度やC濃度はステータスTとステータスEで全く同じ数値となります。
違いが出るのはイエロー濃度だけです。イエロー用の重み付けでは、ステータスEが500nmあたりでほぼゼロになっているのに対して、ステータスTでは550nmあたりまで感度が延びています。

この違いは、イエローインキのインキ量(オフセットではインキの盛り量)の増減に対する濃度の対応に影響します。
イエローインキはシアンやマゼンタのプロセスインキと比較して、比較的純粋な色味をしています。

つまり,照明光の短波長成分のみを吸収し他の波長領域の光を吸収しない(副吸収が小さいということです)特性を持ち、その分光反射率は480nmあたりで急峻に立ち上がります。(図―4参照)


ステータスTの応答特性を使用した場合、この立ち上がり部分(図―4図中 黄緑の楕円部分)を拾うため、結果として濃度変化に対して多少鈍感になります。一方,ステータスEではこの部分を除外し、純粋にインキ量の増減を反映した短波長領域の上下のみを拾って濃度とします。
このため、数値の反応が濃度変化に敏感になり、特にオフセット印刷でのインキ壷の調整に有利なデータを提供します。

もちろんステータスTでもインキ量の増減を確認するのに不足はありませんし、見た目の濃淡の感覚にマッチしているため、コチラを使用するユーザーも多くいます。
一般にステータスTは北米で,ステータスEはヨーロッパで使用される傾向があります。

 
イエローインキの分光反射率とT、Eの重み付け
図-4 イエローインキの分光反射率とT、Eの重み付け
 

02_濃度のステータスって何だ?

濃度ステータス
図-1
 

印刷物や写真感材の濃度を評価する際、使用する色材の特性に応じて評価する(チェックする)波長領域を変えて濃度を算出します。
たとえばプロセス印刷(CMYKによる印刷)のイエローインキの分光反射率特性は、用紙の上のインキ量を増減すると図-2のように変化します。

 

[分光反射率とは...]
分光反射率は色の指紋で,その色の性格を表しています。
分光反射率グラフは横軸に電磁波の波長を,縦軸に反射率をとって表示します。
この分光反射率の形状が色の本来の特性を表すものになります。
人間は,この色の特性が目の中にある3つのタイプの錐体というセンサーに落とし、影を見ているということになります。

イエローインキはインキ量を変化させると短波長側の反射率が変化します.このため,イエローインキを評価する濃度では、短波長に注目する指標を使用します。シアンインキ場合は長波長側を、マゼンタインキに関しては中間波長域を評価した濃度が使用されます。

 
イエローインキはインキ量を変化させると短波長側の反射率が変化します。
このため、イエローインキを評価する濃度では 短波長に注目する指標を使用します。
シアンインキの場合は可視光波長域の長波長側をマゼンタインキに関しては中間波長域を評価した濃度が使用されます。
 
濃度ステータス
 

図-2 イエローインキの増減による分光反射率の変化

古くは、前回の図―1にあるように物理的な広帯域バンドパスフィルターを使用して各波長領域を抽出・評価しました。


プロセス印刷インキのフィルターとしては、ドラムスキャナーの色分解用フィルターが使用され、Y,M,C用にそれぞれラッテンの47(もしくは47B), 58, 25番が濃度計のフィルターとして使用されていたわけです。

反射率の増減をより感度良く捕えるため、広帯域のフィルターではなく、プロセスインキの吸収特性のピークにマッチするような狭帯域のフィルターを使用したいと考える人たちもいます。

一方、写真用には感材の吸収特性に合わせた狭帯域のフィルターが選択されます。

このように濃度計では、さまざまなタイプの濃度を評価するために、用途や色材に合わせてチェックする波長領域を変えて対応しています。
この評価する波長領域の標準セットがステータスと呼ばれるものになります。

現在では、ISOが波長の重み付けを物理フィルターの代わりに数値によって規定し、以下のようなステータスを定義しています。

・ステータスT

 

 

 

・ステータスE
・ステータスI
・ステータスA
・ステータスM
・ビジュアル濃度
・タイプ1濃度
・タイプ2濃度
・タイプ3濃度
 
このうち印刷に使用される濃度はステータスT, E, Iです。

ビジュアル濃度(Kインキの濃度評価に使用)はステータスに関係なく常に同じ重み付けが使用されます。


詳しくは、ISO 5-3 “Photography and graphic technology — Density measurements — Part 3:Spectral conditions”を参照してください。

それぞれのステータス濃度の特徴に関しては、次回に説明したいと思います。

カラー測定    自動濃度計    自動カラー測定

 

濃度 #色の管理 #カラーマネジメント #カラー測定 #濃度計 #カラーマネジメント印刷 #CMYK濃度

INKK:思い通りのネイルポリッシュの色をあなたに

 マニキュアサロンに足を運んだり、好きな化粧品、コスメショップを訪れて、そこにあるネイルポリッシュのカラーバリエーションは、あなたを圧倒するほどあるのに、実際にあなたが探している色は見つけられないということはありませんか?これが、アシュリー・モーガンが解決しようとしていたことです。
 
inkk
 
 
 美術学位を持っているモーガンは、過去15年間、ビデオゲームのデザインをしてきました。彼女はクリエイティブであり、テクノロジーにもこだわりがあります。「私はマニキュアが大好きで、マニキュアの色を選ぶのに何時間費やしてもいいの。でも実際、販売されている色は私にとって何の意味はない。そう思った時、みんながそれぞれ自分だけの色を作るだけでなくて、それらに意味のある名前をつけられたらいいのに!というアイデアが浮かんできたの。…でも、どうやって?と…。」
 

家庭用壁面ペンキのミキシングからヒントを得る

 ある日、Home Depotを訪れたとき、モーガンはカスタムペイントの色がどのように混ぜられているのかに気づきました。ペイントカウンターのスタッフは、枕やその他アイテムなどをサンプルとして、色の組み合わせを見ていたのです。光沢など様々な特性についても考えなければいけないHome Depotのペンキのミキシングは、マニキュアに応用できるのではないかと彼女は思いました。
 モーガンは、Home Depotが色のインスピレーションとフォーミュレーションのためX-Rite測色計ソフトウェアを使用していることを知りました。
「様々な業界を調べてみて、安価な価格のソリューションが他にもあったのだけど、測色計などのツールは私がやろうとしているビジネスの中核で、そこを手を抜くことはできなかったわ。私の顧客に最高のソリューションを提供するために、最高のパートナーと手を組むことが必要だったの。X-Riteは非常にプロフェッショナルなブランド。私の投資が台無しになるような、将来的に倒産してしまうかもしれない会社に少ないお金を払うより、信頼できる会社により多くのお金を払った方がいいと思ったの。」と彼女は言います。
 
 モーガンX-Riteへ連絡しました。 「彼らは私がどんなものを買うべきか、とても良いアドバイスをくれた。」と彼女は言います。 「でも、同時に私は自分の色知識のレベルについても心配していたわ。色については美大で習った基礎知識はあったけれど、もうずいぶんと昔のことで、勉強をし直さなくてはいけないと思っていたの。」X-Riteは、モーガンに彼らが主催している専門性が高いカラーセミナーに参加したり、カスタムセミナーを予約することを勧めました。 「セミナーの形式が、私が学びたい方法に合うとは思わなかったので、私は電話によるトレーニングができるかどうか問い合わせたの。彼らは電話による本格的なトレーニングを行ったことはなかったけれど、快く挑戦してくれたわ。」
 
電話でのトレーニング
 
 
 モーガンX-Riteポータブル積分球分光測色計Ci6xと調色ソフトウェアColor iMatchカラーモンキーデザインを手にし、動き出しました。「私はX-Riteのカラーエキスパートであるジェフ・ダッジと計6回のセッションを行い、私のニーズに特化した指導をしてもらうことによって、多くを学ぶことができたわ。美大で得た基礎知識と3DソフトウェアやWebサイト、ユーザーインターフェイスについての理解を結びつけることによって、私はビジネスを成功させるために必要なものを手に入れたの。」
 モーガンOctopi 616という会社を設立しinkkという製品ブランドを立ち上げました。「タコは環境に合わせて体色を変化させる。私はそのタコの特性を会社のテーマとして使いたいと思ったの。」最初のステップは、彼女独自のカスタムカラーデータベースを構築し、高品質のクリアなマニキュアと幅広いバリエーションの着色剤を提供してくれる売り手を探すことでした。 「私の個人的なカラーデータベースには幅広い範囲の色が含まれていて、さらに私はいつもその数を増やしているの」「でも、私は顧客が望む可能性のある全ての色を思いつくことはできないし、顧客にとって意味のある色の名前をつけることもできない。次のステップは、顧客が自分の色を簡単に選んで名前を付けることができるオンラインストアを作ることでした。その部分は私のソフトウェア開発の経験を活かすことができるので、案外簡単だったの。」
 
 次はパッケージを選ぶこと。「私は初め、タコの形をしたボトルをデザインしようとしたのだけど、触手の形はもろく、壊れ続け、上手くいかなかったわ。そこで、私は小さな3Dプリンターを購入し、上品なタコ足型のキャップを作ったの。 3D印刷されたプロトタイプを使用してテストし、製造工場に送ったわ。シルバーのキャップは私個人のデータベース色に使い、ゴールドのキャップは顧客の色に使うことにした。このデザインはとてもユニークで、私の会社の全体的なテーマに良く合っているわ。しかも触手の形をしたハンドルはつかみやすくて、手にしっかりと馴染むの。ボトルの底からキャップの上端までで約5インチ(約12.7センチメートル)ちょうどの大きさで、ブラシは塗りやすいよう短くなっているの。」
 

inkkの誕生

 モーガンは2016年7月初めにwww.yourinkk.com を立ち上げ、既にカスタムオーダーを受け付けています。彼女はAndroidiOS両方のアプリにそれぞれのオンラインストアを開設しました。Webのインターフェースとアプリは両方とも非常に直感的で使いやすいものとなっています。
 
inkkの誕生
 
 
 「顧客は色を選んだり、参考になる写真を持ってくる。もしくは、色相環表や私のデータベースから参考になる色を選ぶこともできる。こうして顧客は色で遊び、それらに意味のある名前を付け保存することができるの。 注文が完了したら、Color iMatchと、私が設計した顧客の色データをlab色空間で抽出できるソフトウェアを連携させ、調色レシピを作成する。それから、色を混ぜ合わせるのには通常数分しかかからない。結果を目で判断し、調整が必要な場合は、少しずつ改良して試行錯誤を重ねたり、Color iMatchで修正するの。 1瓶などの小規模な注文なら数時間で顧客に届けられる準備ができるのよ!」
 
 モーガンはまた、ユーザーが自分の肌色と口紅の色合いの組み合わせを見ることができるアバターの実験にも取り組んでいます。 「顧客は、自分の肌の色に対してネイルポリッシュやお気に入りの口紅の色がどのように見えるかを知りたがることが多いわ。ほとんどの女性は、口紅の色よりも頻繁にマニキュアの色を変えるので、それらがどのように影響し合うのかを見ていくことが重要かもしれないわね。」
 

基本色を超えて

 正確なマッチングが必要なコーポレートカラーなど、厳しい色判断が必要な案件や、より複雑な色の注文の場合、モーガンは高品質の8色インクプリンターを使用してイメージを印刷し、ポータブル積分球分光測色計Ci6xを使って測定します。 「私自身のデータベースの範囲を広げる以外にこのようなデバイスは必要無いと思っていたけれどが、こういう時にCi6xが使えることはかなり便利ね。」彼女はカラーモンキーデザインを使い、彼女のモニタとプリンターのプロファイルとキャリブレーションを行っています。
 モーガンには他のアイデアもあります。「結婚式やその他のイベントに大きなチャンスがあると思っているの。結婚式やイベントプランナーと連携し、Ci64を使うことで、アパレル、花、及び使用されるその他のデコレーションに基づいた、正確な色データを取り込むことができるようになる。それは本当にエキサイティングで楽しいことね!」
 

Next

 inkkの躍進は止まりません。 「次はアイシャドウに挑戦したいの。 これも女性が頻繁に変える化粧品。これに取り組むには粉末状の顔料の色を測定しなければならないという難しさがあるのだけど、状況が整ったら、X-Riteと協力して、粉末やその他の物質の非接触で色彩測定を可能にするCi6xのアクセサリーを見つけるつもり。」
 
 モーガンはまた、X-Riteや他の会社がカラー分野で今後も新しい技術をもたらしてくれることを期待しています。 「ユーザーが自分の携帯電話のカメラの色が実際に正しい色であるかどうかを調べることが出来るようになってきている。私の場合、すべてをプロファイルし、キャリブレーションしているけど、一般的なユーザーはそれが必要なことすら知らないわ!ユーザーのデバイスが正確な色を表示するためには、カラーサイエンスについて何も知らなくても、適切なモニタまたはスクリーンカラーに調整できる直感的なカラーマネジメントソリューションが必要ね。私は今の技術はすぐにそこへ辿り着くだろうと思っているわ。そして、その時さらに多くの扉が開かれるでしょうね。」
 
 

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