測色計ってどう使うの? ―アイスクリームの色管理―
スーパーやコンビニでアイスクリームを買う時、あなたは何を基準に選びますか?
無意識に、商品の色と外観で一番美味しそうに見える商品を選んでいるのではないでしょうか。
トルコ北部のチョルルに位置するAlgidaアイスクリーム(世界第6位のアイスクリームメーカー)では年間10億個単位のアイスクリームを生産しています。この工場でとある問題が発生しました。店頭に出荷するアイスの色に、生産ロットによって微妙に差が出てしまうのです。
もし買うたびに、ストロベリーアイスクリームが真っ赤だったり、真っ白だったりしたら、そのメーカーの商品を好んで選ぶでしょうか?その答えはAlgida社が一番よく知っていました。アイスクリームメーカーにとってカラーマネジメント(色の管理)は最も重要な要素です。Algida社は製品の色を統一させるために生産管理のプロセスの改善を検討します。
しかし、アイスクリームは使用成分や生産プロセスにより、正確な色を確保するのが非常に難しい食品です。アイスクリームの成分は照明を反射しますが、成分によって強度が異なります。例えば、粒子や気泡は、アイスクリームを薄い色にします。チョコレート味を作るココアのタイプによっても、茶色や赤など色合いが異なります。色の管理は一筋縄ではいきません。
そこで、カラーマネージメントのパートナー企業にエックスライト社を選びました。
エックスライト社は、チョルル工場に適した測色計とソフトウェアを組み合わせたパッケージ「VS450」を用意しました。VS450は測定物の表面に接触せずに正確に測色を行うことができる製品で、食品物を取り扱う際に非常に有用です。
チョルル工場では驚くべきスピードでアイスクリームが生産されています。生産ラインで飛び交うコンテナーに対応するためには色測定は正確かつ瞬時でなければいけません(当然非接触で!)。また、堅牢性も必要です。
VS450はアイスクリーム、チョコレート、着色料、ジャムなど、継続的に生産される加工食品のわずかなカラー変動を監視しつづけました。データはリアルタイムで統計処理およびプロセス監視に回されるため、品質管理と同時にコストを削減も図ることができました。
ヨーロッパ諸国で長年人気のあるAlgidaアイスクリームは、トルコでエックスライト社のテクノロジーを用いて色品質に対する評価を高め、東ヨーロッパ、中近東、アフリカにおいても高品質なアイスクリームの生産を展開することになりました。
エックスライト社の小型非接触式装置VS450はアイスクリームに限らず、あらゆる食品生産ラインに取り付けが可能で、高速に生産される製品の色を精密に測定します。温度、湿度、照明、振動等の変化に対する耐久性を備えており、あらゆるサンプルの色測定を素早くかつ価格を抑えて行うことが可能です。
エックスライト社製品のご紹介→http://www.xrite.co.jp/products/non-contact.html
03_濃度ステータス EとTはどうちがう?
前回、ISOのプロセス印刷用の濃度ステータスとして、ステータスT,E,Iがあることを紹介しましたが、今回はその内容をもう少し詳しく見ていきたいと思います。
前回、ISOはこれらの波長領域の重み付けを数値として規定してることをご説明いたしました。(元々は色分解用フィルターの特性をベースにしたものです)
図-3に重み付けの波長グラフを示します。横軸が波長で、縦軸が重み付けの係数になります。
このようにマゼンタ用やシアン用の重み付けは、ステータスTとステータスEとで同じものが使用されています。
つまり、M濃度やC濃度はステータスTとステータスEで全く同じ数値となります。
違いが出るのはイエロー濃度だけです。イエロー用の重み付けでは、ステータスEが500nmあたりでほぼゼロになっているのに対して、ステータスTでは550nmあたりまで感度が延びています。
この違いは、イエローインキのインキ量(オフセットではインキの盛り量)の増減に対する濃度の対応に影響します。
イエローインキはシアンやマゼンタのプロセスインキと比較して、比較的純粋な色味をしています。
つまり,照明光の短波長成分のみを吸収し他の波長領域の光を吸収しない(副吸収が小さいということです)特性を持ち、その分光反射率は480nmあたりで急峻に立ち上がります。(図―4参照)
ステータスTの応答特性を使用した場合、この立ち上がり部分(図―4図中 黄緑の楕円部分)を拾うため、結果として濃度変化に対して多少鈍感になります。一方,ステータスEではこの部分を除外し、純粋にインキ量の増減を反映した短波長領域の上下のみを拾って濃度とします。
このため、数値の反応が濃度変化に敏感になり、特にオフセット印刷でのインキ壷の調整に有利なデータを提供します。
もちろんステータスTでもインキ量の増減を確認するのに不足はありませんし、見た目の濃淡の感覚にマッチしているため、コチラを使用するユーザーも多くいます。
一般にステータスTは北米で,ステータスEはヨーロッパで使用される傾向があります。
02_濃度のステータスって何だ?
印刷物や写真感材の濃度を評価する際、使用する色材の特性に応じて評価する(チェックする)波長領域を変えて濃度を算出します。
たとえばプロセス印刷(CMYKによる印刷)のイエローインキの分光反射率特性は、用紙の上のインキ量を増減すると図-2のように変化します。
[分光反射率とは...]
分光反射率は色の指紋で,その色の性格を表しています。
分光反射率グラフは横軸に電磁波の波長を,縦軸に反射率をとって表示します。
この分光反射率の形状が色の本来の特性を表すものになります。
人間は,この色の特性が目の中にある3つのタイプの錐体というセンサーに落とし、影を見ているということになります。
イエローインキはインキ量を変化させると短波長側の反射率が変化します.このため,イエローインキを評価する濃度では、短波長に注目する指標を使用します。シアンインキ場合は長波長側を、マゼンタインキに関しては中間波長域を評価した濃度が使用されます。
図-2 イエローインキの増減による分光反射率の変化
古くは、前回の図―1にあるように物理的な広帯域バンドパスフィルターを使用して各波長領域を抽出・評価しました。
プロセス印刷インキのフィルターとしては、ドラムスキャナーの色分解用フィルターが使用され、Y,M,C用にそれぞれラッテンの47(もしくは47B), 58, 25番が濃度計のフィルターとして使用されていたわけです。
反射率の増減をより感度良く捕えるため、広帯域のフィルターではなく、プロセスインキの吸収特性のピークにマッチするような狭帯域のフィルターを使用したいと考える人たちもいます。
一方、写真用には感材の吸収特性に合わせた狭帯域のフィルターが選択されます。
このように濃度計では、さまざまなタイプの濃度を評価するために、用途や色材に合わせてチェックする波長領域を変えて対応しています。
この評価する波長領域の標準セットがステータスと呼ばれるものになります。
現在では、ISOが波長の重み付けを物理フィルターの代わりに数値によって規定し、以下のようなステータスを定義しています。
・ステータスT
・ステータスE
ビジュアル濃度(Kインキの濃度評価に使用)はステータスに関係なく常に同じ重み付けが使用されます。
詳しくは、ISO 5-3 “Photography and graphic technology — Density measurements — Part 3:Spectral conditions”を参照してください。
それぞれのステータス濃度の特徴に関しては、次回に説明したいと思います。
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01_印刷濃度の単位は何?
よくOD値として扱われる濃淡に関するビジュアル濃度の場合、人間の目の波長応答の特性で重み付けをします。
人間の感覚量は色だけではなく、音などもこの常用対数を使用した数値化がおこなわれます。
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世界で話題のカラー・オブ・ザ・イヤーをいち早く商品化するには?
ビジュアルチェックだけで色を開発すると、見た目で求めるカラーになるまでに、何十回ものトライ&エラーを繰り返さなければなりません。
調色ソフトを使えば、新色の生成に費やす時間はより短くなります…
2.最初の調色を行い、サンプルを作成します。
3.作成したサンプルを測色して、基準値と比較します。