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色管理

もはや視覚評価だけでは十分ではない?

色/カラーは大切と言われますが、なぜでしょう?実際、製造過程において色は欠かせない要素です。ですが、思い通りの色を製品で実現することは、以前より難しいと感じる製造者が増え、こうした製品のブランドを持つ会社はより厳しい基準や許容値を満たすことを求めています。
 
 
実際、製造過程において色は欠かせない要素です。
 
なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?
 
色/カラーに関する技術が進化する一方で、顧客の要求は高度になっています。例えば、金属のパッケージ、パール加工、カスタムデザインのテキスタイル、鮮やかな新色を考えてみてください。様々な材料に対して色の一貫性を実現するのは困難になっています。
 
例えば、家庭用のウッドデッキを考えてみてください。昔は、ウッドデッキには灰色か茶色か2つの選択肢しかありませんでした。当時は、デッキ全体で色の調和がとれていれば、それはいい仕事として評価されていました。
 
しかし現在では、深い木目や、異国情緒溢れる色合いなど、あまりにも多くの選択肢が存在します。製造者は、2つや3つのパターンではなく、より多くの色の管理を行う必要があります。 つまり、今日では色を一貫して製造することが容易ではないのです。
 

パッケージもいい例でしょう。かつては店の棚に並んでいたのは印刷の施された箱ですが、今では、フォイルパウチ、ブリスターパック、複数の素材を使ったパッケージが目につきます。半透明で反射性のある素材において、特に、色の管理は難しくなり、ある種類でうまくいく方法が他の素材では必ずしも役に立ちません。

 
 
パッケージデザイン
上の写真は棚に並べられたパッケージデザインの様子です。パウチ、ラベル、カートン、ダンボールなどの色が視覚的に調和していません。これらは克服できる問題です。
 
布地であれ、プラスチックであれ、塗料であれ、コーティングであれ、あらゆる業界で同じことが言えます。かつて合格していた色はもはや十分ではありません。さらに、消費者もブランド側も、色に対してより要求が厳しくなっています。色合いが正しく表現されていないと、消費者は商品の前を通り過ぎて、ライバル企業の他の製品を手に取るでしょう。注目を得ることのできなかった商品は、不良在庫となり、しまいにはゴミ箱行きです。
 
これこそが、製造業者を苦しめる現状です。あなたは大丈夫でしょうか?
 
下の質問の1つにでも「はい」と答えたとしたら、色の選定工程に改善の余地があります。
 
* 色の評価のために屋外で、日昼光で確認を行っていますか?
* 評価や承認を得るために、他の人に写真をE-mailで送っていますか?
* どの色を製品として実現すればいいのか迷っていませんか?
* 昔は承認された色が、現在では却下されていますか?
 
Good Newsです。
見直しを開始するためには多くの時間、資金、労力はかかりません。
では、色の選定において最も起こりやすい間違いをご紹介しましょう。
 
 

1. 間違った照明

 
下の画像は、色の評価になぜ標準光源が必要かを説明しています。ご覧ください。光の種類によって、赤の色合いがどれだけ変化するのか、一目瞭然ですよね。
 
 
色温度
色温度が変化することで、見え方も大きく変わるのです。
 
では、もしあなたのオフィスや研究室に設置してある環境光が標準光源にどれだけ近いのか分からない場合は、どうすればいいでしょう?そんな時には、PANTONE® ライティング・インディケーター・ステッカーD50をお勧めします。このシールにはそれぞれ、上下2色のパッチが用意されています。2つがぴったり同じ色であれば、その場所は自然な日中の光と同じであると考えることができます。違いが見られれば、色の判断をする前に標準光源の下に移動すべきでしょう。
 
もちろん、お気づきのように、「PANTONE® ライティング・インディケーター・ステッカーD50」を使っても、蛍光灯、白熱灯、LEDなどの設置された店舗や家庭、オフィスでどのような見た目になるのかはわかりません。完成品が実際に、どのような色に見えるのかを知るための最善策は、標準光源ブースを使うことです。
 
特に、携帯電話のケースと携帯背面のカバー、車のサイドミラーといった、組み立て式の部品をつくる場合には、すべての色が調和する必要があるので注意が必要です。「完璧につくりあげた試作品」が、必ずしも、店舗やショールーム、家庭で思い通りの色に見える訳ではありません。
 
標準光源ブースはそれほど大きな投資ではありません。しかも、色の選定失敗ややり直しが減れば減るほど、その投資分は回収できることになります。標準光源ブースの活用については、視覚的に色を判断する際のコツ10選をご確認ください。
 

2. 色の認識能力についての過信

 
多くの人が、自分の視覚の不完全性に気づいていません。実際、これはあらゆる人に言えることです。男性の13人1人、女性の300人1人が、色の認識における何かしらの問題があると言われています。
 
 
視覚の不完全性
 
 
石原式色覚異常検査表
上の画像は石原式色覚異常検査表の一部です。左側の柄に「6」が、右側の柄に「2」が見えなければ、ひょっとすると、何かしらの色覚異常が起こっているかもしれません。
 
色の選定を担当する人であれば、視覚のテストを受けることが必要かもしれません。より簡易的な手段をお求めであればオンラインカラーチャレンジが便利です。
 

3. 間違った色見本

 
色の判断のために物理的な見本を使用していますか?色の把握において、実際の見本を元に色を評価するのは、効果的なコミュニケーション方法です・・・ただし、その場合は、基本的なガイドラインに従っていなければなりません。
 
第一に、そのような見本は正しい素材でつくる必要があります。例えば、あなたがタオル用として使われるテリー織の布を製造しているとします。その場合に紙の色見本を用いてしまうと、正確な色の実現が難しくなります(テキスタイルカラーマネジメント)。素材によって、顔料、インク、染料への反応が異なるため、同じ素材でできた見本で色の判断を行うようにしましょう。これは製造業者にとってストレスになりやすいポイントです。
 
さらに、見本は汚れやシミ、色あせなどの影響が考えられますので、実物サンプル管理方法の徹底解説を参考に、正しくサンプルを管理するようにしましょう。
 
 
Judge QCライトブース
こちらの品質管理マネージャーは、Judge QCライトブースの中で、テキスタイルのサンプルを色の基準と照らし合わせて、異なる光の下でも正確な色が表現できるように細心の注意を払っています。
 

4. デバイスごとに異なって色を表示

 
電化製品の展示場や販売店を訪れたことがある人なら、並んでいるテレビそれぞれが、同じ画像なのに色を異なって表示していることに気づいたことはありませんか?このようにデバイスによって色が異なって表示されるのは大きな問題です。しかし、携帯、タブレットやパソコンの画面を使って色の決定を行う時に、多くの人はこの点を気にしていません。あなたのデジタルカメラは正しい色を撮影していますか?その写真のデータを送信したとしても、それを受け取った評価担当者は、正しい色が「見えている」のでしょうか?
 
 
色補正
写真データの転送は色を判断する上で決して最善の策ではありませんが、実物サンプルの共有が難しい場合には、使用するすべての端末の色補正を行うことが効果的です。
 

視覚だけを頼りに色を決めていませんか?

 
「素晴らしい色」の実現は終わることのない旅のようなものです。新たな素材や製造方法の登場で色の管理が複雑化していますが、一方で色管理のツールも進化しています。これらを使いこなして、正しい色に近づきましょう。
 

標準光源色彩測定ツールをすでにご利用されている場合には、あなたの旅路はもう少し先にまで進んでいることになります。今後のブログでは、より踏み込んだ内容をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

 

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自社とサプライヤーの測定値は 一致していますか?

あなたとサプライヤーの測定値は一致していますか?
 
自社とサプライヤーの測定値は
一致していますか?
 
 測定値がサプライヤーの測定値と異なることがありますか?実は、こうしたお客様は多いのです。
 
 これは、解決しなければならない重要な問題です。もしあなたの測定値がサプライヤーのものと一致しない場合、「合格」であるべき材料を「不合格」としてしまうかもしれず、また「不合格」の材料を「合格」するかもしれません。結果的に、間違った色を作るために時間と労力と多くのお金を費やすことになってしまうのです。
 
 ブランドなどの指示者とサプライヤーの測定値が一致しない、最も一般的な5つの理由をここにまとめました。
 
 

1.異なるデバイス

 
 あなたとサプライヤーが異なるデバイスを使用して色を測定している場合、測定結果には多少のばらつきが出ます。異なるメーカー、異なるモデル、新しいデバイスか古いデバイスかでさえ、不一致を引き起こす原因になります。
 
例えば2台のコンピュータのように考えてください。同じオペレーティングシステムを使用している場合でも、その動作は少し異なると予想できると思います。
機器の反復性と再現性を調査することで、その機器が安定した結果を生み出すことができるかどうかを確認することが出来ます。
 
 球面を測定するなど、一貫したカラーデータを収集することが難しい測定箇所の場合も、測定値にズレが出る原因となります。場合によっては、同じアパチャー径を使用してそのズレを減らすことができますし、また、デバイス同士の測定値を近づけられるような変換をすることも解決策の一つです。
 
異なるデバイス
Ci64で塗料サンプルを読み取る様子
 
 理想的な状況は、サプライチェーンの全てにおいて同じタイプのデバイスを使用することです。機差を理解する(Understanding Inter-Instrument Agreement)のブログでは、機器の機差とは何か、モデル間機差や反復性とは何が違うのか、なぜこれらをカラーワークフローで考慮すべきなのかをご紹介しています。
 
 
デバイスの不十分なメンテナンス
 

2.デバイスの不十分なメンテナンス

 
 あなたとあなたのサプライヤーが同じ計測器を使用していても、正確で一貫した結果を得るには、双方のデバイスが最良の状態である必要があります。デバイスをカメラだと考えてみてください。レンズが汚れていても、クリアな画像を撮れるでしょうか?
 
 また、定期的にキャリブレーションを行い、デバイスを工場出荷時の設定に戻す必要があります。私たちは仕事を開始する度、少なくとも1日に1回はキャリブレーションすることをお勧めします。キャリブレーションを行わずに長時間使用すればするほど、デバイスは標準化された状態、またはキャリブレーションされた状態の値から離れていきます。
 
 定期的にメンテナンスを行い、校正証明を得ることは、あなたのデバイスが正しい状態で活用され、計測できているという最大の証明となります。
 もちろん、メンテナンスされ、キャリブレーションされ、校正証明を得たデバイスだとしても、サプライヤーも同じようにデバイスを管理していなければ、一貫した結果を得ることは出来ません。特に測定値が異なる問題に直面している際には、分光測色計をメンテナンスに出すことを躊躇してはいけません。病気になったときに、学位を証明できず、器具が清潔に維持されていないような医者に行くでしょうか?
 
 

3.異なる基準

 
 エラーを起こすもう一つの原因は、異なる基準を使用することです。あなたとサプライヤーは、合理的かつ実現可能で、望ましい結果を反映した明確な基準を持つべきです。双方の条件を考慮することが必要です。
 
 同様に、双方で測定方法が同じであるかを確認する必要があります。例えば、プラスチックサプライヤーがペレットホルダー内のペレットを測定しているのに、あなたがクイックメルトプロセスを使用してプラークを測定している場合などには、非常に異なる結果となってしまいます。
 
異なる基準
 
 テキスタイル印刷自動車塗料食品、化学薬品、包装プラスチックなどの多くの業界で、最も正確にカラーをコミュニケーションするために物理的なスタンダードを使用することはよくありますが、それら物理的スタンダードが適切に扱われていないと、ビジネスに大きな損害を与える可能性があります。 Ultimate Guide for Caring for Physical Samples (サンプル見本の取り扱いガイド) に従い、そしてそれをサプライヤーと必ず共有しましょう。
 

4.ヒューマンエラー

 
 特に大規模な工場では、人為的ミスは測定データが一致しない最大の原因の一つです。工程を確認し、明確で簡潔な手順を提示していくことは、不良データを防ぐ最善策の1つであり、ワークフローの反復性と再現性を向上させます。
 
 

5.間違ったコミュニケーション

 
 これまでに述べてきたこと既に全てが十分に確認されているのであれば、問題はあなたとサプライヤー間のコミュニケーションにあるかもしれません。すべての設定と潜在的限界について、双方がきちんとコミュニケーションすることで、測定値とデータ結果にどのような問題が起こっているのかを十分に理解することができるのです。
 
 1トンのプラスチックペレットを注文する時に一番避けたいことは、色の不良で到着したペレットを全て却下することです。製造業者にとって莫大な材料の損失が発生するだけでなく、あなたは生産オーダーを待たなければならず、あなたのビジネスにも損害を与えます。最初から明確な目標を設定するよりも、後ろに遡って作業することはずっと難しいことです。
 
 
あなたが話し合わなければならないことは
測色計モデル
測色計ジオメトリ
•アパチャーサイズ
•光源、オブザーバーとイルミナントテーブルの設定を含むデバイス設定(表5または表6は、比色分析で使用するためにCIEによって認定されています)
•基準となるバッキング(100%未満の不透明な素材はバッキングを基準化することが必要です)
キャリブレーションのスケジュール
•工場のメンテナンスと校正証明
 
 
希望があります!
 測定の精度を確保するために、サプライヤーと話してください。その答えは長期的に見れば双方の時間とお金を節約になります。
 測定値の不一致の原因をまだ見つけることができない場合は、こちらにご連絡ください。当社は、問題を特定し、業界、ワークフロー、およびニーズに最適な解決策を見つけるための検査およびカラーマネジメントソリューションを提供しています。
 
 

05_濃度を測定すると何が分かるの?

さて、色の管理カラーマネージメントとしては色彩値であるL*a*b*測定が中心となっている昨今、どうして依然として濃度値を使用するのでしょうか?
印刷における濃度測定値から派生する指標としてはドットゲイン、2次色トラッピング、コントラスト、グレーバランス、ヒューエラー、グレーネスなどさまざまなものがありますが、なんといってもベタ濃度の管理が最も重要な役割となります。
 
印刷の場合、濃度の変化は色材料の変化に直結します。
たとえばオフセット印刷の場合,図―7のように濃度とインキ膜厚との間に比較的線形な関係(比例の関係)があります。つまり濃度が高くなれば比例して膜厚が厚くなり顔料の混入量(色材濃度)が多くなるということに繋がります。
つまり、濃度∝インク膜厚∝色材量という関係が成立するわけです。
(ただし、グラフからも分かるように一定の濃度(膜厚)以上になると、その線形(直線)性が失われてきます。そのため、あまり高濃度になってくると濃度測定は意味を失ってくることになります。)
 
 
ベタインキのインキ膜厚と濃度の関係
図-7 ベタインキのインキ膜厚と濃度の関係
 
濃度が決まればその線形性から色材量が決まります。いつも同じインキを使用する場合、色材量が決まれば図-8のようにその分光反射率の形が決まってしまいます。つまり、色そのもの(色彩値)が一意に決定されることになります。
 
 
インキ色材量(膜厚)変化による分光反射率の変化
図-8インキ色材量(膜厚)変化による分光反射率の変化
 
印刷の現場では、いつも同じプロセスインキを使用することで、濃度を決めればその色彩値、さらに分光特性さえも決めることができるのです。濃度値は簡単な1つの指標で表わすことができますし、何よりコントロールが可能な色材量(オフセットの場合はインキ膜厚)とリンクしているため、現在でも印刷の現場では最も重要な指標として使用されているのです。
だって、L*a*b*やΔEで言われたって、印刷機をどうコントロールすれば良いか分からないでしょう!
 
ただし、ここでの条件は「同じインキを使用する場合は...」ということです。

同じインキでない場合、濃度を合わせても色はマッチしないのです。ですから、たとえばプルーフのベタ濃度を測定して本紙のベタ濃度をこれに合わせても、一般的に色は合いません。(プルーフと本紙では通常インクが異なるからです。)

この場合は,色彩値をあわせる必要があるのです。
 
下の2つのカラーパッチは濃度が両方とも1.05でも使用するインクが異なるため色がマッチしません。
 
 
両方とも1.05でも使用するインクが異なるため色がマッチしません
Y濃度=1.05    Y濃度=1.05
 
インクが異なるような場合、たとえばプルーフの特色に本紙で色をマッチさせるには濃度ではなく、色彩値を合わせて印刷する必要があるのです。
この場合は,ベストマッチという便利な機能を利用する方法があります。
ベストマッチは色彩値のマッチイングを濃度でガイドする機能です。このベストマッチについてはいつか詳しく説明します。
 
 

トリックなし、トリート(ごほうび)だけ!

前回、ステータスTとEを説明しましたが、それでは、ステータスTとEの どちらを使用すればいいのでしょうか?
 
印刷のプロセス印刷では、基本的にはどちらを使用しても良いと思います。
問題は常に同じステータスを使用することです。
あるときはステータスTを使用して、あるときはEを使用するといったことをしてはいけません。
ですから、自分の会社がどちらのステータスを使用しているかをキチンと認識していなくてはいけません。
どちらか判からない場合は、コート紙のイエローのベタ濃度をどの程度の濃度で印刷しているかを確認してください。
 
イエローのベタ濃度が0.95~1.05程度だとおそらくステータスTだと思われます。
これが1.25~1.35程度だと使用しているステータスはおそらくEでしょう。
図-5にステータスの典型的な値の例を示します。シアン、マゼンタ、ブラックではステータスTとEで
同じ値を示しています。
 
 
典型的なステータス濃度
図-5 典型的なステータス濃度
 
よく「ANSI TとかANSI EなどとISO T,ISO Eはどのように違うのか?」という質問を受けます。
ANSI TとISO Tは全く同じ濃度を指します。同様にANSI EとISO Eも全く同じものを指します。
測定器の販売された時期によって記載の仕方が異なっているだけです。
 
ステータスIはどのような濃度ステータスでしょうか?
 
ステータスIは狭帯域濃度のステータスで、典型的なプロセスインキのピーク吸収波長に応答のピークを合わせた重み付けをしています。ピーク波長がインキの特性とマッチしている場合、最大限の感度が得られ、 小さな膜厚変動で大きな濃度変化が得られます。しかし、その有効性はインキの特性に依存するため、ピーク波長が使用するインキとずれた場合、思わぬ波長的なデッドゾーンが発生する場合があります。
また、プロセスインキ以外では使用が難しいなどの問題もあるため一般的には使用されていません。
 
 
典型的なステータス濃度
図-6ステータスIのY,M,Cの重み付け
 
濃度計(測定器)によってステータスIがSPIと表記されている場合もありますが、これもISO Iと全く同じ意味になります。
 
その他の印刷用のステータスとしてはDINというものがあります。
DINはドイツの国家規格によるステータスでやはり広帯域の特性を持ちます。
DINにはDIN16536 (1995)、DIN16536 (1984)などがあります。また、古い濃度計測色計)ではDIN SPMと記載されたものもあります。
これらのステータスは全く同じものではなく、それぞれ微妙に異なった濃度を示します。
DINは古い規格でDIN16536 (1995)をベースとしてISO Eが国際規格として制定されています。このためFOGRAなどでもDINを使用しているユーザーにはISO Eへ移行するように推奨しています。ちなみにそれぞれのDINが少しずつ異なるように、ステータスEもDIN16536 (1995)と同じ濃度を示すわけではありません。
正確を期すならば自社の基準をステータスEで取り直すことをお勧めします。

 Xrite 印刷     光学濃度計

 

色の管理 #カラーマネジメント #カラーキャリブレーションソフトウェア #カラー測定 #カラー評価

04_濃度ステータスTとE、あなたはどっちを使ってる?

前回、ステータスTとEを説明しましたが、それでは、ステータスTとEの どちらを使用すればいいのでしょうか?
 
印刷のプロセス印刷では、基本的にはどちらを使用しても良いと思います。
問題は常に同じステータスを使用することです。
あるときはステータスTを使用して、あるときはEを使用するといったことをしてはいけません。
ですから、自分の会社がどちらのステータスを使用しているかをキチンと認識していなくてはいけません。
どちらか判からない場合は、コート紙のイエローのベタ濃度をどの程度の濃度で印刷しているかを確認してください。
 
イエローのベタ濃度が0.95~1.05程度だとおそらくステータスTだと思われます。
これが1.25~1.35程度だと使用しているステータスはおそらくEでしょう。
図-5にステータスの典型的な値の例を示します。シアン、マゼンタ、ブラックではステータスTとEで
同じ値を示しています。
 
 
典型的なステータス濃度
図-5 典型的なステータス濃度
 
よく「ANSI TとかANSI EなどとISO T,ISO Eはどのように違うのか?」という質問を受けます。
ANSI TとISO Tは全く同じ濃度を指します。同様にANSI EとISO Eも全く同じものを指します。
測定器の販売された時期によって記載の仕方が異なっているだけです。
 
ステータスIはどのような濃度ステータスでしょうか?
 
ステータスIは狭帯域濃度のステータスで、典型的なプロセスインキのピーク吸収波長に応答のピークを合わせた重み付けをしています。ピーク波長がインキの特性とマッチしている場合、最大限の感度が得られ、 小さな膜厚変動で大きな濃度変化が得られます。しかし、その有効性はインキの特性に依存するため、ピーク波長が使用するインキとずれた場合、思わぬ波長的なデッドゾーンが発生する場合があります。
また、プロセスインキ以外では使用が難しいなどの問題もあるため一般的には使用されていません。
 
 
典型的なステータス濃度
図-6ステータスIのY,M,Cの重み付け
 
濃度計(測定器)によってステータスIがSPIと表記されている場合もありますが、これもISO Iと全く同じ意味になります。
 
その他の印刷用のステータスとしてはDINというものがあります。
DINはドイツの国家規格によるステータスでやはり広帯域の特性を持ちます。
DINにはDIN16536 (1995)、DIN16536 (1984)などがあります。また、古い濃度計測色計)ではDIN SPMと記載されたものもあります。
これらのステータスは全く同じものではなく、それぞれ微妙に異なった濃度を示します。
DINは古い規格でDIN16536 (1995)をベースとしてISO Eが国際規格として制定されています。このためFOGRAなどでもDINを使用しているユーザーにはISO Eへ移行するように推奨しています。ちなみにそれぞれのDINが少しずつ異なるように、ステータスEもDIN16536 (1995)と同じ濃度を示すわけではありません。
正確を期すならば自社の基準をステータスEで取り直すことをお勧めします。

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測色計ってどう使うの? ―アイスクリームの色管理―

 

 

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スーパーやコンビニでアイスクリームを買う時、あなたは何を基準に選びますか?

 

無意識に、商品の色と外観で一番美味しそうに見える商品を選んでいるのではないでしょうか。

 

トルコ北部のチョルルに位置するAlgidaアイスクリーム(世界第6位のアイスクリームメーカー)では年間10億個単位のアイスクリームを生産しています。この工場でとある問題が発生しました。店頭に出荷するアイスの色に、生産ロットによって微妙に差が出てしまうのです。

もし買うたびに、ストロベリーアイスクリームが真っ赤だったり、真っ白だったりしたら、そのメーカーの商品を好んで選ぶでしょうか?その答えはAlgida社が一番よく知っていました。アイスクリームメーカーにとってカラーマネジメント(色の管理)は最も重要な要素です。Algida社は製品の色を統一させるために生産管理のプロセスの改善を検討します。

 

しかし、アイスクリームは使用成分や生産プロセスにより、正確な色を確保するのが非常に難しい食品です。アイスクリームの成分は照明を反射しますが、成分によって強度が異なります。例えば、粒子や気泡は、アイスクリームを薄い色にします。チョコレート味を作るココアのタイプによっても、茶色や赤など色合いが異なります。色の管理は一筋縄ではいきません。

 

そこで、カラーマネージメントのパートナー企業にエックスライト社を選びました。

 

エックスライト社は、チョルル工場に適した測色計とソフトウェアを組み合わせたパッケージ「VS450」を用意しました。VS450は測定物の表面に接触せずに正確に測色を行うことができる製品で、食品物を取り扱う際に非常に有用です。

 

チョルル工場では驚くべきスピードでアイスクリームが生産されています。生産ラインで飛び交うコンテナーに対応するためには色測定は正確かつ瞬時でなければいけません(当然非接触で!)。また、堅牢性も必要です。

 

VS450はアイスクリーム、チョコレート、着色料、ジャムなど、継続的に生産される加工食品のわずかなカラー変動を監視しつづけました。データはリアルタイムで統計処理およびプロセス監視に回されるため、品質管理と同時にコストを削減も図ることができました。

 

ヨーロッパ諸国で長年人気のあるAlgidaアイスクリームは、トルコでエックスライト社のテクノロジーを用いて色品質に対する評価を高め、東ヨーロッパ、中近東、アフリカにおいても高品質なアイスクリームの生産を展開することになりました。

 

エックスライト社の小型非接触式装置VS450はアイスクリームに限らず、あらゆる食品生産ラインに取り付けが可能で、高速に生産される製品の色を精密に測定します。温度、湿度、照明、振動等の変化に対する耐久性を備えており、あらゆるサンプルの色測定を素早くかつ価格を抑えて行うことが可能です。

 

エックスライト社製品のご紹介→http://www.xrite.co.jp/products/non-contact.html

 

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03_濃度ステータス EとTはどうちがう?

前回、ISOのプロセス印刷用の濃度ステータスとして、ステータスT,E,Iがあることを紹介しましたが、今回はその内容をもう少し詳しく見ていきたいと思います。

前回、ISOはこれらの波長領域の重み付けを数値として規定してることをご説明いたしました。(元々は色分解用フィルターの特性をベースにしたものです)
図-3に重み付けの波長グラフを示します。横軸が波長で、縦軸が重み付けの係数になります。

 
ステータスTとEの重み付けファクター
図-3 ステータスTとEの重み付けファクター
 

このようにマゼンタ用やシアン用の重み付けは、ステータスTとステータスEとで同じものが使用されています。

つまり、M濃度やC濃度はステータスTとステータスEで全く同じ数値となります。
違いが出るのはイエロー濃度だけです。イエロー用の重み付けでは、ステータスEが500nmあたりでほぼゼロになっているのに対して、ステータスTでは550nmあたりまで感度が延びています。

この違いは、イエローインキのインキ量(オフセットではインキの盛り量)の増減に対する濃度の対応に影響します。
イエローインキはシアンやマゼンタのプロセスインキと比較して、比較的純粋な色味をしています。

つまり,照明光の短波長成分のみを吸収し他の波長領域の光を吸収しない(副吸収が小さいということです)特性を持ち、その分光反射率は480nmあたりで急峻に立ち上がります。(図―4参照)


ステータスTの応答特性を使用した場合、この立ち上がり部分(図―4図中 黄緑の楕円部分)を拾うため、結果として濃度変化に対して多少鈍感になります。一方,ステータスEではこの部分を除外し、純粋にインキ量の増減を反映した短波長領域の上下のみを拾って濃度とします。
このため、数値の反応が濃度変化に敏感になり、特にオフセット印刷でのインキ壷の調整に有利なデータを提供します。

もちろんステータスTでもインキ量の増減を確認するのに不足はありませんし、見た目の濃淡の感覚にマッチしているため、コチラを使用するユーザーも多くいます。
一般にステータスTは北米で,ステータスEはヨーロッパで使用される傾向があります。

 
イエローインキの分光反射率とT、Eの重み付け
図-4 イエローインキの分光反射率とT、Eの重み付け